障がい者グループホームの運営における課題や業務改善策について

公開日:2025/11/07
運営課題

障がい者グループホームは、障がいを抱える人々の生活を支える大切な仕事です。しかし、運営するにあたり、人手不足や利用者の多様なニーズへの対応、施設の安全管理など多くの課題が存在します。本記事では、現場で直面する問題点を整理し、業務効率化や質の向上につながる具体的な改善策についてくわしく解説します。

障がい者グループホームの倒産の原因は販売不振が最多

近年、障がい者グループホーム(共同生活援助)の需要は高まっていますが、その一方で、運営が立ち行かなくなる事業所も増加しています。2023年に行われた東京商工リサーチの調査では、実際に倒産した122件のうち「販売不振(売り上げ不振)」が倒産の原因としてもっとも多く、その件数は92件にのぼります。

次いで「他社倒産の余波(38件)」、「代表者の死亡などのその他(3件)」が続いています。この販売不振の背景には、大手事業者との競合や人手不足による利用者減少が大きく影響しています。

大手事業者との競合による影響

障がい者グループホーム事業では、近年、営利法人の参入が相次いでいます。とくに直近5年間では、営利法人を含めた新規事業者の伸びが著しく、地域によっては利用者の獲得競争が激化しているのです。競争が起きることで、既存の中小事業者が利用者を確保できず、結果として売上が低迷するケースが多発しています。

また、競合の増加は利用者だけではなく「職員の確保」にも影響します。給与や待遇面で優位な大手事業者に人材が流出し、人員不足によって運営が難しくなる事業所も少なくありません。

人手不足による運営の停滞

障がい者グループホームの運営には、管理者、サービス管理責任者、生活支援員、世話人といった複数の職種が必要です。法律で利用者数に応じた人員配置が定められており、違反すると「報酬の減算」や「指定停止」など行政処分の対象になります。

とくに、施設運営の要となる「サービス管理責任者」は資格要件が厳しく、人材の確保が困難な職種です。そのため、適切な人員配置ができず、サービス品質や運営体制の維持が難しくなるケースが多く見られます。

障がい者グループホームが抱えがちな課題とは

障がい者グループホームは、障がいをもつ人々が地域で自立した生活を送るための重要な支援拠点です。しかしその運営には、社会的意義の高さとは裏腹に、さまざまな課題が存在します。主な課題として以下の6点が挙げられます。

1. スタッフの確保と定着率の低さ

先述したとおり、経営不振に陥る要因となるのは人手不足が大きく影響を与えます。人手不足を防ぐためには、人員を安定的に確保する体制づくりと職員の定着率向上の2点を重点的に進める必要があります。しかし、福祉業界は全体的に深刻な人手不足が続いており、夜勤を含む勤務条件の厳しさから離職率が高い傾向にあります。スタッフの不足は、業務の負担増、支援品質の低下、そして経営の不安定化を招きます。

2. 夜間支援員とのトラブル

夜勤は昼間よりも人員が少ないため、緊急対応時にトラブルが発生しやすい時間帯です。夜勤支援員が孤立感や疲労を抱えやすく、結果として離職につながるケースもあります。夜勤支援員が緊急対応やトラブル処理に自信をもって対応できるよう、定期的に研修を実施したり、ほかのスタッフや上司と連携がとれるよう連絡体制を整えることが重要です。

また、夜勤の業務の重要性は可視化されにくく、適切な評価が行われにくい傾向があります。事業主が夜勤支援員の業務をしっかりと評価して、スタッフ自身がやりがいを感じられるように積極的にサポートするとよいでしょう。

3. 運営コストの増加

人件費、光熱費、設備維持費などの固定費が高く、とくに夜間勤務者の配置や防災設備などへの投資が経営を圧迫します。しかし、運営コストを削ることでサービスの質が悪化すれば、利用者数が減少してしまい、収益が十分に確保できません。これではあっという間に赤字経営に陥ってしまうでしょう。

4. 法令遵守と行政手続き

障がい者福祉サービスは、障がい者総合支援法、建築基準法、労働基準法など、複数の法令に従う必要があります。法改正にも対応しなければならず、手続きや管理が非常に煩雑です。

5. 利用者や家族とのトラブル

サービス内容や料金への誤解、夜間の緊急対応の遅れなどが原因で不満が生じることもあり、クレームや紛争に発展するケースがあります。信頼関係を築くためのていねいな説明や、迅速な対応が求められます。

6. 施設設備や安全管理

防火設備や避難経路、夜間照明、防犯対策など、日々の安全管理も大きな責務です。とくに夜間は事故リスクが高まるため、つねにメンテナンスと訓練を欠かさない体制が必要です。

もっと働きやすくする!業務改善策を実行しよう

障がいグループホームを運営するにあたり、さまざまな課題はありますが、課題を解決する方法がまったくないわけではありません。ここでは、運営改善に向けた具体的な5つの施策をご紹介します。

1. 意味のある採用活動を行う

人材確保はすべての基盤です。まずは、求人媒体の選定と内容の見直しから始めましょう。求職者層に合わせた媒体を選び、求人票には「勤務環境」「支援のやりがい」「職員の声」などを盛り込むことで応募率が上がります。また、事業所のホームページとの連携も効果的です。求職者は「どんな職場か」を確認する傾向があるため、求人ページやSNS発信を通じて信頼を構築しましょう。

2. 利用者確保のための施策を打つ

入居者の確保は経営安定のカギです。行政機関への周知だけではなく、チラシやパンフレット配布、他事業所への営業など、地道な広報活動が欠かせません。また、Web広告やホームページでの集客も効果的です。リスティング広告やFacebook広告を活用すれば、潜在的な利用希望者に直接リーチできます。さらに、満室時でも問い合わせの連絡先をストックしておくことで、空室発生時の迅速な対応が可能になります。

3. コミュニケーションと協力の強化

運営を安定させるには、利用者だけではなく、家族・関係機関・地域住民との信頼関係が不可欠です。日常的なあいさつや報告、面談を通じて信頼を築くことで、トラブルを未然に防げるだけではなく、空室時に他事業所から入居依頼を受けるなどの好循環も生まれます。

4. 法律・報酬改定の知識をつねにアップデート

グループホームの運営者は、障がい者総合支援法や報酬改定の動向をつねに把握しておく必要があります。たとえば、2024年4月にも法改正が予定されており、報酬体系や運営基準に影響を与える可能性があります。行政書士・社労士などの専門家と連携し、改正情報を早期に把握して体制を整えることが、安定経営への第一歩です。

5. ITツールや障がい福祉ソフトの導入・活用

ITツールや障がい福祉ソフトの利活用は、業務効率化と職員の負担軽減に直結します。日報や利用者情報をデジタル化すれば、ハンコ・紙ベースの業務時間を削減できます。請求書の発行や送迎管理も一括で行えるのでおすすめです

まずはGoogleカレンダーやLINE、クラウド管理ツールなど、すでに馴染みのあるツールから導入しても構いません。また、採用活動や集客にもWebツールを活用すれば、自動化・仕組み化が進み、安定した運営につながるでしょう。

まとめ

障がい者グループホームの安定運営には多くの課題があります。しかし、課題の背景を正しく理解し、採用や集客、業務改善、ITツール・障がい福祉ソフト活用、法知識のアップデートなどを計画的に行うことで、安定した運営を実現することが可能です。とくに障がい福祉ソフトは福祉に特化したツールなので、業務を的確にサポートしてくれること間違いなしです。社会的意義の高いこの事業を持続可能な形で続けていくためにも、日々の課題をチャンスに変え、より働きやすく、利用者に安心を届けられるグループホーム運営を目指しましょう。

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