令和6年度(2024年)の障害福祉サービス等報酬改定は、処遇改善や医療連携、地域移行を重視し現場の支援力を評価する改定です。本記事では基本構造、加算・減算、BCPや強度行動障がい対応など現場直結のポイントを順に解説します。事業所が具体的に何を準備すべきかも含め、実務に役立つ視点でまとめたので、ぜひ参考にしてください。
目次
障害福祉サービス報酬改定とは?基本構造と加算・減算の仕組み
障害福祉サービスを運営する事業所にとって、報酬は収入の大きな柱です。しかし「報酬」と聞くと、ただのお金の話に思えるかもしれません。実は報酬の仕組みには国の政策や支援の方向性が反映されており、サービスの質や利用者の暮らしにも深く関わっています。ここでは、基本報酬と加算・減算の仕組みをやさしく解説します。基本報酬とは
障害福祉サービスの報酬は、まず「基本報酬」という土台があります。基本報酬は、提供するサービスの内容や時間、利用者の障がいの程度などによって決まります。たとえば、日中活動サービスや居宅介護では、利用者1人あたりの支援時間や必要な支援の強さによって基本報酬が設定されています。基本報酬は、事業所がサービスを提供する上で必要な人件費や運営費をまかなうための基本的な収入です。加算とは
基本報酬だけでは、すべてのサービスに対応するのは難しいこともあります。そこで、一定の条件を満たす場合に上乗せされるのが「加算」です。加算には、職員の手厚い配置や特定の支援が必要な利用者への対応、地域連携や医療的ケアへの取り組みなどが含まれます。加算があることで、事業所は専門性の高い支援やきめ細やかなサービスを提供しやすくなります。また、国が重視する政策の方向、たとえば強度行動障がいへの対応や地域移行の推進といった施策も、加算を通じて反映されます。
減算とは
一方で、サービス提供が不十分であったり、指定の基準を満たさない場合には「減算」が適用されます。たとえば、虐待防止の取り組みや身体拘束の適正化が行われていない事業所では、報酬が一部減らされます。減算の仕組みは、事業所に適切な運営と安全なサービス提供を促すための仕組みでもあります。報酬改定と国の政策
報酬は、単に事業所の収入を決めるだけでなく、国の福祉政策の方向性を示すものでもあります。加算や減算の項目を見ることで、国がどのような支援を重視しているか、どのような取り組みを推進したいかがわかります。令和6年度の改定では、職員の処遇改善や医療連携、地域移行、強度行動障がいへの支援などが重点的に加算として評価されるようになりました。令和6年度の改定で注目すべき処遇改善・労働環境への対応
令和6年度の改定では、職員の処遇改善と働きやすい職場環境の整備が大きな柱となっています。具体的には、処遇改善加算の一本化や加算率の引き上げ、労働環境の向上を目的とした取り組み、そして災害や感染症に備えた業務継続計画(BCP)の策定義務化など、現場の運営に直結する改定点が盛り込まれました。処遇改善加算の一本化と加算率の引き上げ
これまで複数に分かれていた処遇改善加算が一本化され、計算や配分ルールが整理されました。加算率も引き上げられ、介護職だけでなく事務職や支援職など幅広い職員の給与改善につながります。事業所は、加算をどの職員にどのように配分するか計画書を作成する必要があります。労働環境の整備強化
報酬改定では、働く環境の改善にも重点が置かれています。介護ロボットやICTの活用によって生産性を高め、管理者の兼務範囲の見直しやテレワークルールの明確化により、事務負担の軽減と職員の働きやすさが向上します。BCP策定の義務化
災害や感染症の発生に備えた業務継続計画(BCP)の策定も義務化されました。策定していない事業所は基本報酬が減算されるため、早急な取り組みが求められます。日頃から緊急時対応を準備することで、職員も安心して働け、利用者にとっても安全で安定したサービス提供につながります。現場に直結するポイント
令和6年度の改定で重視されたのは「人材の確保」と「職員の働きやすさ」です。処遇改善加算の一本化と加算率の引き上げにより賃金の見える化と公平な配分が可能となり、労働環境の整備やBCP策定の義務化により職員の安心感と事業所の安定運営が両立されます。現場の事業所は、加算の取り方や業務ルールの見直しを計画的に進めることが、令和6年度以降の安定経営につながるでしょう。医療連携・地域移行を推進する新たな加算項目
令和6年度の障害福祉サービス報酬改定では、利用者が医療や地域の生活と安心してつながりながら、自分らしく暮らせるように、事業所の取り組みを評価する新しい加算項目が導入されました。ここでは、医療的ケア対応、重度障がい者支援、相談支援業務、地域移行の4つのポイントに分けて、加算内容と現場への影響をわかりやすく説明します。医療的ケア対応の加算
医療的ケアが必要な利用者に対応できる事業所には、新しい加算が設定されました。生活介護や短期入所の現場では、喀痰吸引や経管栄養などの医療ケアを安全に行う体制が整っているかが評価されます。これにより、利用者本人はもちろん家族も安心してサービスを利用できる環境が整います。さらに、重度訪問介護では、入院中の利用者への特別なコミュニケーション支援も加算対象です。医療と福祉の連携が進むことで、より安全で質の高いサービスが提供できるようになります。
重度障がい者支援の充実
重度障がい者の支援体制も評価の対象になりました。強度行動障がいをもつ利用者を受け入れる事業所では、専門の中核的な人材を配置し、集中的な支援を行った場合に加算されます。中核的人材は、ほかの職員への指導や支援計画の作成も担当します。これにより、利用者の行動の特性に合わせたきめ細やかな支援が可能となり、生活の質や安全性が高まります。また、事業所全体の支援力が向上することで、職員の安心感も得られます。相談支援業務の評価
地域での生活をスムーズに進めるためには、相談支援業務の充実も重要です。新たな加算では、利用者や家族への情報提供、通院への同行、医療機関や行政との連携を行うコーディネーターの配置が評価されます。これにより、利用者が必要なサービスにつながりやすくなり、地域での暮らしを支える体制が整います。相談支援業務を通じて、現場の職員が利用者に寄り添った支援を行いやすくなる効果も期待されます。地域移行の推進
施設で暮らす利用者が地域で生活できるように支援する取り組みも、新しい加算の対象です。施設では、入所者一人ひとりの希望する生活の場を確認し、通所サービスやグループホームの見学、地域活動への参加を支援することが求められます。こうした取り組みを行った事業所には「地域移行促進加算」が設けられ、地域での自立生活や社会参加を後押しする仕組みが整いました。とくに注目!強度行動障がいへの対応と国が示す福祉の方向性
強度行動障がいをもつ人への支援は障がい福祉の大きな課題です。令和6年度の改定では、受け入れ体制の強化や地域生活支援の充実など、国の方針に基づいた加算項目が新設されました。ここでは、現場でとくに重要となる支援ポイントをわかりやすく紹介します。強度行動障がい者の受け入れ体制を強化
従来、強度行動障がいをもつ人の受け入れは、専門知識や経験をもつ職員が限られていることもあり、事業所にとって大きな負担でした。令和6年度の改定では、こうした人たちを安全かつ安定して受け入れるために「中核的人材」の配置や令和6年度「集中的支援」令和6年度が評価される加算が新設されました。中核的人材とは、強度行動障がいへの対応に特化した職員で、ほかの職員への指導や支援計画の作成も担当します。これにより、事業所全体の支援力が高まり、本人だけでなく周囲の利用者や職員の安全も確保されます。




